AudioAccessory(オーディオアクセサリー) 117号「「聞くべき音」と「聞かざるべき音」」

ここ10年の間に、オーディオ機器の売り上げに反比例するようにオーディオアクセサリーが爆発的に売れている。少し前では、考えられなかったような高価なケーブルやインシュレーターボードなどが雨後の竹の子のように登場して、あるものはヒットし、あるものは淘汰されて消えている。たぶんオーディオアクセサリー誌に掲載されているアクセサリーの平均価格を計算すれば、この10年間でのインフレ率はおそらく驚くべきものになるのではないだろうか?と想像する。しかし、さすがにここ数年はアクセサリーのインフレも収束し、10万円を越えるほど高価なアクセサリーの売り上げは減少傾向にあるように感じているが、それは高額アクセサリーの購入が同道巡りで、結局音質向上に結びつかなかった結果ではないかと推測する。
例えば、あなたがオーディオアクセサリーを購入する動機は何だろう?端的に「音を良くするため」に違いないと思うが、しかし「それまで聞こえなかった音が聞こえるようになった」からといって、それは「音が良くなった」と言えるわけではない。オーディオとはそれほど単純なものではないのだ。
私たちが日常聞いている「音」は、 続きを読む

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StereoSound(ステレオサウンド) 155号「テクノロジーとアートの融合(1)」

蓄音機やSPレコードで増幅なしに音楽を聴いていた黎明期を過ぎ「録音再生技術」は、軍需用の後押しもあって一気に発達、1950年頃には電気的な増幅回路を使って低歪み大音量サウンドが再現可能な私たちが「オーディオ」と呼んでいるテクノロジーの原型へと発展する。「オーディオ」はさらに「アナログ」から「デジタル」へと変遷を遂げ、世界で最初の録音再生機器の登場から僅か100年あまりでその技術は驚くほどの進歩を遂げた。そして現在「オーディオ・テクノロジー」の進歩は「音楽を聴く」という意味を「ライブ(生演奏)を聴く」から「録音された音楽を聴く」に変えてしまうほど、私たちの生活に深く浸透している。
しかし、その華麗な発展の歴史とは裏腹に、オーディオの売り上げはここ10年で半分以下に落ち込んでいる。この売り上げ集計の中には「ミニコンポ」や「ラジカセ」なども含まれているから、純粋に「我々マニアがオーディオと呼んでいる機器」の売り上げの減少はそれを遙かに上回るだろう。オーディオが衰退しつつある原因は、決してひとつではないだろうが「テクノロジーが一人歩きした」ことが最大の原因であると私は思う。例えば 続きを読む

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AudioAccessory(オーディオアクセサリー) 116号「「音」ではなく「音楽」を聴かせてくれる、それが「LITTLE Cosmos」」

もし、あなたがオーディオから「楽器と同じ音」・「録音されたそのままの音」を出そうとしていらっしゃるなら、余り深入りしない方がいいと思う。「シンバル」、「バイオリン」、「ピアノ」ETC...あらゆる楽器の発音部の材質は、スピーカーユニットの振動板とはまるで違って遙かに強固で剛性が高く、それらが振動して発生する音も当然違う。つまり、あなたが考えるよりも「オーディオの音」は「生の音」に近くないのだ。
「まったく違っている」と考える方が自然だとすら思うほどの大きな差がある。そして、どれほど技術が進んだとしても「その差」が埋まるとは思えない。もちろんそれ以外にも理由はあるが「結局、音の追求に満足はない」というのが「音質を突き詰めて得た私なり結論」なのだ。
では、「音が似ていない」から「オーディオでは音楽を楽しめないのか?」と言うとそれは全然違う。逆に「生音とは明確に違う音」を出しながら「生よりも生々しく音楽を楽しませる」ことができるのがオーディオという技術(芸術)の素晴らしさなのだと私は思う。
それは、例えるなら「風景画を描く」のと同じだ。似顔絵や風景画は 続きを読む

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StereoSound(ステレオサウンド) 154号「スピーカーの重要性」

ソフトの収録方式はアナログからデジタルに変わったが、それを再生するためのスピーカーの基本原理は発明当初とまったく変わらない。今も昔も、振動板をマグネットとコイルで電気的に駆動して音を出している。同じオーディオ機器でもアンプは、真空管からトランジスターと素子が変わり、アナログからデジタルへ変革を遂げその性能は著しく向上した。 例えば今のアンプの歪み率は、安い製品ですらデーター上「0.1%」を軽く切るが、それは真空管アンプ時代には想像すら出来なかった高性能だ。それに比べ、スピーカーの歪み率は今昔も変わらず数十%に達する。無論「データー上の歪み率」が、そのまま音の善し悪しに関連しているわけではないが、実際にスピーカーはシステム全体に最も大きな影響を与えるし、安い製品と高い製品の差も他の機器より大きいように思える。歪みが大きいスピーカーには「まだまだ改善すべき点が多く」今後さらに進歩するはずだ。 サイズは小さい方がいい 時折、「大きなスピーカーを買ったのだが思ったように音が広がらない」と... 続きを読む

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AudioAccessory(オーディオアクセサリー) 115号「僕がまだ学生だった頃」

僅かな時給でバイトして沢山のレコードを目の前に一時間以上悩んで買った一枚。精一杯背伸びして手に入れたダイヤトーンのスピーカーを安物のアンプで鳴らすのが精一杯のシステムで、JBLやマークレビンソンはただの憧れで自分のものになるなんて、ましてやオーディオ屋になるなんて夢にも思わなかった。
今ではもう弾くことはないけれど、20万円のYAMAHAギターよりずっと音が良かった10万円もしないYAIRIがお気に入りで旅行にも一緒に連れて行った。高いもの、ブランド品が必ずしも一番じゃないことをYAIRIは教えてくれた。
大学時代ディスコが流行りで、卒業前の学祭でやったDJ。最終日、ラストナンバーでプレーヤーのベルトが切れ、マイクを持って歌ったサザンオールスターズの勝手にシンドバット。「プレーヤー」と「リスナー」が音で繋がる一瞬の快感。壊れやすいものほど美しいと、ステージに立つミュージシャンの気分が少しわかった。
時と共にお気に入りの歌手は替わっても歌謡曲が一番好きなのは変わらない。ステレオを聴いて気分が乗ると、一緒に歌う癖も変わらない。お金はなかったけど、 続きを読む

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